草薙旅館 草薙旅館

草薙旅館
- Kusanagi Inn -


「じゃじゃん、今回は最初から登場だよ~」
「ボクたちがお世話になっている、草薙旅館を紹介するね」
「老舗旅館で、江戸時代からあるんだよ」
「一番古い建物は築 150 年を越えるとか」
「150 年!150 年と言えば……!!」
「ひゃくごじゅう…………」
「あ、思考停止した」
「とにかく、すっごい古いんだよね!」
「150 年前と言えば、文久だから江戸時代だね」
「おー、さすがみっちゃん」
「この旅館の建物は、その頃からあったってことだよ」
草薙旅館 玄関 草薙旅館 廊下
「ここが玄関と廊下。ちょっとこぢんまりしているけど、
色んな部屋に通じてるんだ」
「歩くと、ミシミシ言うよ~」
「古いからね……しようがないよ」
「木の香りがけっこうするね」
「すごくリラックスできるでしょ?」
「うん」
「廊下を真っ直ぐ行くと、中庭があって
そこはちょっとした庭園になってるんだよ」
「その庭園を抜けると離れがあるんだ」
「結構広いんだねー」
草薙旅館 大浴場 草薙旅館 大浴場
「広いと言えば、なんといってもこの大浴場」
「おー!このお風呂も、築 150 年なの、みっちゃん?」
「残念ながら、お風呂場は定期的に建て替えてるんだよ」
「え、そうなんだ?」
「うん、草薙旅館の温泉は硫黄泉だから、木の建物は
腐食しちゃうんだ。なので、150 年は持たないんだよ」
「なるほどー」
「エメラルド・グリーンなお湯の色が特徴的だよ」
「みっちゃんー、このお風呂でもっとお勧め
することがあると思うよ?」
「えっ!?」
「それは、この大浴場は、混浴だってこと!」
「わ……わ……!」
「かなちゃんと一緒にここでしっぽりと……ね?」
(ぼっ!)
「みっちゃん、顔真っ赤~」
草薙旅館 大広間
「みんなでご飯を食べる、大広間だよ」
「ここも広いね」
「うん。奥の舞台では、三味線や琴のお披露目をしたり、
あと和式の結婚式なんかにも使われたことがあったらしいよ?」
「結婚式かー」
「料理も美味しいよ?」
「今度みんなで、カラオケしよ?」
「あのね……」
草薙旅館 枢の部屋
「かなちゃんの部屋、一番乗り~」
「これが一般的な草薙旅館の客間ね。2~4人部屋だよ」
「充分広いね」
「晴れた日は神坐湖が見渡せるはずだよ」
「おー」
「そして、夜はこうなります」
草薙旅館 枢の部屋 夜
「えっ、お布団がふたつ!? どうしてなのっ!?」
「枢と、あと妹の一葉ちゃんの分でしょ」
「………」
「?」
「私の布団は?」
「え……」
「私の布団は───!?」
「はいはい、次いくよ」
「私のふとん……」
草薙旅館 汐の部屋 草薙旅館 つぐみの部屋 草薙旅館 叶の部屋
「はい、こっちがボクたちの部屋だよ」
「私の部屋と」
「ボクの部屋と」
「叶さんのお部屋」
「元々寮住まいだし、ここは夏休みの間だけ使う予定だから、
荷物は少ないかもね」
「でもみっちゃんの部屋はパソコンとかタブレットとか
いろいろあるね……」
「まーね。枢に遅れをとらないよう、いつでも検索できるようにね!」
「っていうか、草薙旅館って、携帯の電波ちゃんと届くの?」
「窓際に行かないと……けっこうキビシー」
「田舎だねー」
「LTE とか WiMAX とか、まったく無縁な神坐湖町でした」
「あれっ、みっちゃん?」
「どしたの?」
「そらちゃんの部屋は? 紹介、忘れてるんじゃない?」
「ウフフ、澄空ちゃんはね、そもそも離れの方に部屋があるんだ」
「離れ?」
草薙旅館 澄空の部屋
「はい、こっちが澄空ちゃんの部屋。さっきの庭園を突っ切った
先にある離れの方にあるんだ」
「わっ! なんだか豪華!」
「お嬢様らしく、いい部屋に泊まってるってこと」
「ずるい!」
「宿泊料、倍じゃすまないらしいよ?」
「いつもの部屋でいいかな……」
「諦めるの早……」
「そうだ、ここに私の布団を敷こうっと」
「め、めげないね……」
草薙旅館 奥の間
「さて、この部屋で最後かな」
「奥の間?」
「うん、座敷童子が棲んでいるっていう噂の」
「毎日、お供え物とかしてるんだよね?」
「そうそう。で、そのお供え物は、ちゃんとなくなってるんだって」
「そっかー、やっぱりいるんだ、座敷童子さん」
「でも、ちょっとした怪談だよね、それ」
「か、考えてみたら……そうかも……!」

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