セミもせわしく鳴き始める八月、夏休みに田舎の旅館を手伝うように言われた主人公【草薙(くさなぎ)枢(かなめ)】は、バイト代も出るというので何となく承諾した。
うだるように暑い東京にいるよりも、東北の田舎町の方が涼しいと思ったは、暇をしていた妹【一葉(かずは)】を連れて、新幹線に乗り込んだのだ。

の田舎は東北の山奥にあり、小学校低学年まで過ごした思い出の場所である。

ところが着いてみると駅周辺は開発が進み、大きな学園都市ができていた。
そこにはの記憶に残る景色はなく、整備された町が広がっていたのである。
それでもバスに乗り込んで旅館に向かうと、町を離れるにつれて懐かしい景色が広がっていく。
やがて見覚えのあるバス停で降りると、そこには懐かしい旅館がたたずんでいるのだった。
ところが旅館でを待っていたのは、学園の女の子たちだった。
学園の寮が突如使えなくなり、夏休みも寮を利用する生徒たちがこの旅館に入ることになったというのである。
は彼女たちの面倒をみるために、呼ばれたのである。
幸先不安なスタート。
しかもにはもう一つ不安があった。
この旅館にはイタズラ好きの座敷童子が住み着いているのだ。

「こりゃ貧乏くじを引いたか?」

自由奔放な彼女たちに悪戦苦闘するの夏休みが始まるのだった。